2010/06/19 (Sat) 21:00
ルアンポー・ティアン式ヴィパッサナーの特徴

ルアンポー・ティアン式ヴィパッサナーは、
タイ上座部仏教のルアンポー・ティアン派で修行されている瞑想法です。
ルアンポー・ティアン派はルアンポー・ティアン比丘(1911-1988)に由来します。
ただしルアンポー・ティアン式ヴィパッサナーという呼び名は一般的ではなく、
筆者が仮にそう呼んでいるだけです。
一般的にはチャルーン・サティ、マハーサティ瞑想、
気づきの瞑想、手動瞑想などと呼ばれていますが、
どれも固有名詞として使うにはふさわしくないので、
仮にルアンポー・ティアン式ヴィパッサナーと呼ぶことにしました。
ルアンポー・ティアン派では最初からサマタ瞑想もヴィパッサナー瞑想も行います。
(サマタ瞑想、ヴィパッサナー瞑想については瞑想学基礎をご参照ください。)
しかし重視されているのはヴィパッサナー瞑想です。
ルアンポー・ティアン派ではいくつかのヴィパッサナー瞑想を修行しますが、
主なものは手動瞑想、歩行瞑想の2つです。
特に手動瞑想は特徴的かつ重視されています。
手動瞑想は手を一定のパターンでリズミカルに動かし、その動きに気づくという方法です。
目は通常開いて行いますが、目を閉じて行う場合もあります。
具体的にどのような動きをするかは文章ではウィキペディアに、
画像ではYouTubeのこちらにいくつか出ています。
歩行瞑想ではゆっくり目にあるき、足の動きに気づくという方法をとります。
手動瞑想、歩行瞑想共に、マハシ式ヴィパッサナーで行うような
ラベリング(気づきを言語化する事)は、ルアンポー・ティアン式では行いません。
言語化をせずにただ気づいていきます。
また手動瞑想、歩行瞑想以外に、ゴエンカ式ヴィパッサナーのように、
体の感覚に気づいていくという瞑想法などもあります。
サマタ瞑想は補助的にのみ用いられ、パオ式のように高い禅定を求めることはありません。
瞑想法としては呼吸を見つめる瞑想であるアーナパーナ・サティなど、
四念処経(中部経典)にある瞑想から適宜選んで修行されます。
ルアンポー・ティアン式ヴィパッサナーの基本的アプローチとしては、
高い禅定のような特殊な意識状態ではなく日常での意識状態で、
また特殊なテクニックをなるべく用いずに、
日常での体や心の動きを観察し気づいていこうとすることで、
ある意味非常にヴィパッサナーらしいヴィパッサナーだと言えると思います。
日本にはプラユキ・ナラテボー比丘によって紹介され指導されています。
プラユキ・ナラテボー比丘の瞑想合宿に参加したときの感想は、
過去記事プラユキ・ナラテボー瞑想合宿にありますので併せてお読みください。
シリーズ記事
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パオ式ヴィパッサナーの特徴
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