2011/04/02 (Sat) 02:00
福島原発今後、食品放射性物質基準値は妥当か
2011年3月17日に制定された放射性物質食品暫定規制値は妥当かどうかを検証する。
表1 放射性物質含有規制値(単位 Bq/kg 空欄は未調査)
日本=2011年3月17日暫定規制値
欧州=EURATOM(欧州原子力共同体)事故等の非常時の規制値
この表を見ると、欧州に比べれば値は全て低く、WHOの非常時の値と比べると、ヨウ素が高くセシウムが低く、全体としては低めの設定であり、非常時の規制値としては、これだけ見ればほぼ妥当と考えられる。
次に大人の規制値ギリギリの食品だけを1年を通じて摂取し続けた場合の実効被曝量(Sv)を計算してみる。ここで以下の仮定をする。
水分摂取量 1日2.5kg
固形物摂取量 1日1.5kg、内根菜芋類を除く野菜類が0.3kg含まれるとする。
計算式は以下になる。
実効被曝線量(Sv) =
放射能濃度(Bq/kg) × 実効線量係数(Sv/Bq) × 摂取量(kg/日) × 摂取日数(365日)
表2 食品からの年間最大被曝量
実効線量係数は経口で摂取した場合のベクレルからシーベルトの換算係数
ここで21.9mSvが高いのか低いのかを評価してみる。
ここで評価基準となる3つの値を提示する。この3つくらいは常識として憶えておいていただきたい。
1mSv。一般人の自然被曝と医療を除いた以外の年間累積被曝量規制値。
10mSv。世界で最も自然放射線量の多い地域の年間自然放射線量。
100mSv。年間累積被曝量が100mSvに達すると健康に影響し、発癌率が0.5%増す。
さらに参考値として以下の2つ。
2.4mSv。地球上の年間の自然放射線量平均。
50mSv。日本政府基準では、実質累積被曝量が50mSvを超えると避難指示。
1mSvは安全、10mSvを超えると注意レベル、100mSvを超えると警告レベルと憶えておくと簡単だろう。
こうしてみると年間21.9mSvは注意レベルになる。しかし実際にはそんなに規制値ギリギリの食品ばかりを摂取しないであろうこと、非常時の暫定値であるということであれば、まあまあ妥当な値であると考えられる。
注意すべきはこの値を引き上げようとする動きがあることと、果たして非常時(1年以内)で済むのかということである。これについては厳しく監視をしていきたい。
追記として、このような計算はやろうと思えば誰にでもできる。自分で計算してみて単位に慣れれば、何ccとか何kgとか何cmとかのように、感覚として分かるようになってくる。人によって摂取量は異なり、年齢などによっても影響は異なり、また大気中放射線量による被曝量も加算する必要もあるだろう。それによって値が高いのか低いのかの評価は、それぞれの感覚によって異なる。面倒だとは思わずに是非自分で計算して感覚を掴んでいただきたい。政府やマスコミなどの発表する「直ちに人体に影響はない」などの言葉に疑心暗鬼なることなく、自分で判断できるようにしていただきたい。
参考URL
食安発0317第3号 平成23年3月17日(日本基準値)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
Radioactive contamination of food risks: experts(欧州基準値)
http://au.news.yahoo.com/thewest/a/-/world/9041428/radioactive-contamination-of-%3Cspan%20class='highlight_normal%20highlight_food'%3Efood%3C/span%3E-risks-experts/
WHO Radiation Emergency Guidelines (WHO放射線非常時ガイダンス 13ページ)
http://www.who.int/ionizing_radiation/a_e/en/Radiation_emergency_guidelines.pdf
WHO Guidelines for drinking-water quality (飲料水水質ガイドライン 202-203ページ)
http://www.who.int/water_sanitation_health/dwq/fulltext.pdf
ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)計算・換算(換算機能あり)
http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php
緊急医療被ばくのホームページ ≪内部被ばくに関する線量換算係数≫
http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/4_1.html
ウィキペディア シーベルト (実効線量(mSv)の影響の表)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88
ぶらり一人旅 ★☆★ 水道水の放射性ヨウ素131 国際基準まとめ(ソースあり)★☆★
http://nakamu.blog.ocn.ne.jp/hitori/2011/03/131_cd85.html
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福島県放射線量そろそろ限界
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福島原発今後、食品放射性物質基準値は妥当か
福島原発今後の予測被曝量計算方法
乳児ための放射性母乳傾向と対策
福島原発プルトニウムの危険性評価
放射性物質名 | 食品種類 | 日本 | 欧州 | WHO (非常時) | WHO (平常時) |
ヨウ素 (代表元素 I-131) | 乳幼児飲料水・食品 | 100 | 150 | 100 | 10 |
飲料水・牛乳・乳製品 | 300 | 500 | 100 | 10 | |
野菜類(根菜・芋類を除く) | 2000 | 2000 | 1000 | ||
セシウム (代表元素 Cs-137) | 乳幼児飲料水・食品 | 200 | 400 | 1000 | |
飲料水・牛乳・乳製品 | 200 | 1000 | 1000 | ||
野菜類・穀類・肉・卵・魚・その他 | 500 | 1250 | 1000 | ||
ウラン (代表元素 U-235) | 飲料水・牛乳・乳製品・幼児用食品 | 20 | |||
野菜類・穀類・肉・卵・魚・その他 | 100 | ||||
プルトニウム類 (代表元素 Pt-239) | 飲料水・牛乳・乳製品・幼児用食品 | 1 | 1 | ||
野菜類・穀類・肉・卵・魚・その他 | 10 | 10 |
日本=2011年3月17日暫定規制値
欧州=EURATOM(欧州原子力共同体)事故等の非常時の規制値
この表を見ると、欧州に比べれば値は全て低く、WHOの非常時の値と比べると、ヨウ素が高くセシウムが低く、全体としては低めの設定であり、非常時の規制値としては、これだけ見ればほぼ妥当と考えられる。
次に大人の規制値ギリギリの食品だけを1年を通じて摂取し続けた場合の実効被曝量(Sv)を計算してみる。ここで以下の仮定をする。
水分摂取量 1日2.5kg
固形物摂取量 1日1.5kg、内根菜芋類を除く野菜類が0.3kg含まれるとする。
計算式は以下になる。
実効被曝線量(Sv) =
放射能濃度(Bq/kg) × 実効線量係数(Sv/Bq) × 摂取量(kg/日) × 摂取日数(365日)
元素 | 食品 | 実効線量係数 | 実効被曝線量 |
I-131 | 飲料2.5kg | 2.2×10^-8 Sv/Bq | 6.0 mSv |
I-131 | 根菜芋類を除く野菜類0.3kg | 2.2×10^-8 Sv/Bq | 4.8 mSv |
Cs-137 | 飲料2.5kg | 1.3×10^-8 Sv/Bq | 2.4 mSv |
Cs-137 | 食物1.5kg | 1.3×10^-8 Sv/Bq | 3.6 mSv |
U-235 | 飲料2.5kg | 4.7×10^-8 Sv/Bq | 0.9 mSv |
U-235 | 食物1.5kg | 4.7×10^-8 Sv/Bq | 2.6 mSv |
Pt-239 | 飲料2.5kg | 2.5×10^-7 Sv/Bq | 0.2 mSv |
Pt-239 | 食物1.5kg | 2.5×10^-7 Sv/Bq | 1.4 mSv |
合計 | 21.9 mSv |
実効線量係数は経口で摂取した場合のベクレルからシーベルトの換算係数
ここで21.9mSvが高いのか低いのかを評価してみる。
ここで評価基準となる3つの値を提示する。この3つくらいは常識として憶えておいていただきたい。
1mSv。一般人の自然被曝と医療を除いた以外の年間累積被曝量規制値。
10mSv。世界で最も自然放射線量の多い地域の年間自然放射線量。
100mSv。年間累積被曝量が100mSvに達すると健康に影響し、発癌率が0.5%増す。
さらに参考値として以下の2つ。
2.4mSv。地球上の年間の自然放射線量平均。
50mSv。日本政府基準では、実質累積被曝量が50mSvを超えると避難指示。
1mSvは安全、10mSvを超えると注意レベル、100mSvを超えると警告レベルと憶えておくと簡単だろう。
こうしてみると年間21.9mSvは注意レベルになる。しかし実際にはそんなに規制値ギリギリの食品ばかりを摂取しないであろうこと、非常時の暫定値であるということであれば、まあまあ妥当な値であると考えられる。
注意すべきはこの値を引き上げようとする動きがあることと、果たして非常時(1年以内)で済むのかということである。これについては厳しく監視をしていきたい。
追記として、このような計算はやろうと思えば誰にでもできる。自分で計算してみて単位に慣れれば、何ccとか何kgとか何cmとかのように、感覚として分かるようになってくる。人によって摂取量は異なり、年齢などによっても影響は異なり、また大気中放射線量による被曝量も加算する必要もあるだろう。それによって値が高いのか低いのかの評価は、それぞれの感覚によって異なる。面倒だとは思わずに是非自分で計算して感覚を掴んでいただきたい。政府やマスコミなどの発表する「直ちに人体に影響はない」などの言葉に疑心暗鬼なることなく、自分で判断できるようにしていただきたい。
参考URL
食安発0317第3号 平成23年3月17日(日本基準値)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
Radioactive contamination of food risks: experts(欧州基準値)
http://au.news.yahoo.com/thewest/a/-/world/9041428/radioactive-contamination-of-%3Cspan%20class='highlight_normal%20highlight_food'%3Efood%3C/span%3E-risks-experts/
WHO Radiation Emergency Guidelines (WHO放射線非常時ガイダンス 13ページ)
http://www.who.int/ionizing_radiation/a_e/en/Radiation_emergency_guidelines.pdf
WHO Guidelines for drinking-water quality (飲料水水質ガイドライン 202-203ページ)
http://www.who.int/water_sanitation_health/dwq/fulltext.pdf
ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)計算・換算(換算機能あり)
http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php
緊急医療被ばくのホームページ ≪内部被ばくに関する線量換算係数≫
http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/4_1.html
ウィキペディア シーベルト (実効線量(mSv)の影響の表)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88
ぶらり一人旅 ★☆★ 水道水の放射性ヨウ素131 国際基準まとめ(ソースあり)★☆★
http://nakamu.blog.ocn.ne.jp/hitori/2011/03/131_cd85.html
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