2012/01/24 (Tue) 17:00
八正道は必要十分か?
筆者は事あるごとに人に八正道を勧めていますが、先日ある人と、八正道は誰にとっても必要か、あるいは八正道で十分だと言えるのか、という話になりました。筆者の個人的な結論から言うと、八正道はルールブックではなく、誰にとっても必要十分とは言えないが、一般論としてガイドブックとしてとても有効な方法であり、王道であると考えています。
先ず八正道は何のためにあるかというと、苦を滅するための道としてあります。現代風に言えば自他ともに幸福になるための方法です。そのために八正道が有効な方法・心がけかどうかを検討してみます。
八正道をもう一度、平たく筆者の言葉で書きます。正しいという言葉が何度も出てきますが、これは事実として正しいという意味と、自他ともに幸福になるための方法として有効という意味の両方があると考えてください。
・正見 正しく見ること。
偏見・先入観などなしにあるがままを見ること。何が正しいかを知るための基本なので当然だと言えるでしょう。
・正思 正しく考えること。
感情や思い込みに振り回されず、論理を捻じ曲げたり飛躍させたりすることなく、論理的に考えること。正見と同様、何が正しいかを知るための基本なので当然だと言えるでしょう。
・正語 正しい言葉。
嘘をつかないこと、人が傷つく言葉、不快になる言葉を言わないこと。嘘をつくと混乱しますし、自分自身も嫌な思いをするので、原則としては当然でしょう。また人が傷つく言葉、不快になる言葉は自他ともに幸福になるという目的に反するので当然でしょう。
・正業 正しい行い。
他を害する行動をしない、益する行動をとる。自他ともに幸福になるという目的からすれば当然でしょう。
・正命 正しい生活。
自分を害する行動をしない、益する行動をとる。自他ともに幸福になるという目的からすれば当然でしょう。
・正精進 正しい努力。
努力しないで幸福が転がり込んでくると考える人もいるようですが、自他ともに幸福になるにはやり努力が必要でしょう。何が正しい努力かは判断が難しいところですが、自他ともに幸福になるという目的を忘れないようにし、正見・正思を適用すればだいたい見当はつくでしょう。ちなみに間違った努力というのも存在します。例えば苦行です。
・正念 正しい気づき。
注意力と言っても良いかも知れません。気づきがなければ何も分からないも同然なので、当然といえるでしょう。
・正定 正しい心の安定。
心が安定していれば自分はある程度幸福ですし、他も幸福にしやすいでしょう。また上記7つを実践しやすくなるでしょう。
こうしてみると、自他ともに幸福になるための一般論・ガイドブックとしては至極もっともだと言えると思います。どのような信条・価値観を持った人にでも通用するでしょう。そして八正道をもっと短い言葉で表現すると智恵と慈愛(仏教用語で言えば智慧と慈悲)、八正道を実践する上で気をつけるべきことがバランス感覚、つまり中道と言えると思います。
筆者はこれを特に「仏教」として勧めている訳ではありません。例えて言えば、健康になりたい人(自他ともに幸福になりたい人)に、運動(八正道)を勧めているようなものです。そして八正道は王道だと思っています。また上記の解説は平易に書きましたが、突き詰めて実践すると大変奥が深いとも感じます。異論は多々あるとは思いますが、筆者のスタンスをご理解いただければ幸いです。
次回は八正道が必要十分ではない例として、人の話を聴くことについて書きます。
やさしい八正道入門まとめと目次
先ず八正道は何のためにあるかというと、苦を滅するための道としてあります。現代風に言えば自他ともに幸福になるための方法です。そのために八正道が有効な方法・心がけかどうかを検討してみます。
八正道をもう一度、平たく筆者の言葉で書きます。正しいという言葉が何度も出てきますが、これは事実として正しいという意味と、自他ともに幸福になるための方法として有効という意味の両方があると考えてください。
・正見 正しく見ること。
偏見・先入観などなしにあるがままを見ること。何が正しいかを知るための基本なので当然だと言えるでしょう。
・正思 正しく考えること。
感情や思い込みに振り回されず、論理を捻じ曲げたり飛躍させたりすることなく、論理的に考えること。正見と同様、何が正しいかを知るための基本なので当然だと言えるでしょう。
・正語 正しい言葉。
嘘をつかないこと、人が傷つく言葉、不快になる言葉を言わないこと。嘘をつくと混乱しますし、自分自身も嫌な思いをするので、原則としては当然でしょう。また人が傷つく言葉、不快になる言葉は自他ともに幸福になるという目的に反するので当然でしょう。
・正業 正しい行い。
他を害する行動をしない、益する行動をとる。自他ともに幸福になるという目的からすれば当然でしょう。
・正命 正しい生活。
自分を害する行動をしない、益する行動をとる。自他ともに幸福になるという目的からすれば当然でしょう。
・正精進 正しい努力。
努力しないで幸福が転がり込んでくると考える人もいるようですが、自他ともに幸福になるにはやり努力が必要でしょう。何が正しい努力かは判断が難しいところですが、自他ともに幸福になるという目的を忘れないようにし、正見・正思を適用すればだいたい見当はつくでしょう。ちなみに間違った努力というのも存在します。例えば苦行です。
・正念 正しい気づき。
注意力と言っても良いかも知れません。気づきがなければ何も分からないも同然なので、当然といえるでしょう。
・正定 正しい心の安定。
心が安定していれば自分はある程度幸福ですし、他も幸福にしやすいでしょう。また上記7つを実践しやすくなるでしょう。
こうしてみると、自他ともに幸福になるための一般論・ガイドブックとしては至極もっともだと言えると思います。どのような信条・価値観を持った人にでも通用するでしょう。そして八正道をもっと短い言葉で表現すると智恵と慈愛(仏教用語で言えば智慧と慈悲)、八正道を実践する上で気をつけるべきことがバランス感覚、つまり中道と言えると思います。
筆者はこれを特に「仏教」として勧めている訳ではありません。例えて言えば、健康になりたい人(自他ともに幸福になりたい人)に、運動(八正道)を勧めているようなものです。そして八正道は王道だと思っています。また上記の解説は平易に書きましたが、突き詰めて実践すると大変奥が深いとも感じます。異論は多々あるとは思いますが、筆者のスタンスをご理解いただければ幸いです。
次回は八正道が必要十分ではない例として、人の話を聴くことについて書きます。
やさしい八正道入門まとめと目次
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